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伝染病予防

はじめに

伝染病ワクチンは任意に接種されるワクチンです。(伝染病ワクチンを接種することにより致死性の高い伝染病のリスクを減らすことができます。)狂犬病のように接種義務はありませんが普段の生活の中で罹りえる病気で、予防が出来るものであるため当院では接種することを推奨しています。またトリミングやホテル等のお預かりや入院の際は特別な事情がない限り、皆様の動物の相互の安全確保のため接種を条件とさせて頂いています。(犬・猫のワクチンについてはスタッフまでおたずねください。)

接種時期と追加接種

その子の年齢や生活環境によって接種時期や種類は変わります。

子犬・子猫の場合は生活環境や個体によって異なりますが、生後40日から60日に初回接種を行い1~3回の追加接種を行います。その後は年に1回追加接種することで病気を予防できるレベルの抗体の維持が可能になります。

成犬・成猫の場合はワクチン歴がない場合は2回接種、その後年1回の追加接種を行います。追加接種については3年に1回の接種でよいとする見解が海外や一部の獣医さんの間でありますが、現在日本で販売されているワクチンで3年間の病気予防を保障しているメーカーはなく、また確実な予防を行うため当院では現在は1年に1回の追加接種を推奨しています。

ただし今後、確実に3年間の予防レベルを保ったものが出てきた場合はこの限りではありません。伝染病ワクチンに限らず他の予防(フィラリアやノミ・ダニ等)も含め当院では確実なもの、方法を選択しています。


「ワクチンは3年に1回の接種で良いらしいって話を耳にしました。」という方が時々いらっしゃいます。ワクチン回数は年に1回必要? それとも3年に1度でいいの?本当のところはどうなのでしょう。


毎年打つのはボッタクリまで言う過激な方もいらっしゃるので当院での方針を説明します。

どちらも間違いではありません。個体差があるため、愛犬によって違う、というのが答えです。

ではなぜ、3年に1回で良いという情報があるのでしょう。


 それは、一部の獣医師がアメリカ獣医師学会や協会のワクチネーションガイドラインを採り入れて、接種期間を決めているためです。

同ガイドラインは確かに、3年に1度のワクチンを推奨していますがすべて病気に共通したものではなく、ばらつきがあるのが現状です。

さらに、抗体のつき方には個体差があります。抗体価を調べて必要かどうか調べることもできますが時間的・費用的には現実的ではありません。

また日本ではレプトスピラのような、ワクチンの持続期間が短い伝染病の流行があることや、ウイルス単体のワクチンが手に入りづらいため、犬の3年に1回のワクチンで大丈夫と言い切れないのが現実です。また、アメリカよりもワクチン接種率が低いこと、ペットショップでの子犬の生体販売が行われていることなど日本特有の問題があります。


このような点から、現在当院では原則年1回の混合ワクチン・狂犬病の予防接種を推奨しています。あくまでも推奨です。究極に言うと狂犬病ワクチンに関しては年1回の接種が義務付けられていますので打ってください。

混合ワクチンに関しては義務・強制ではないので、確実に予防したい場合は1年に1度の接種をすれば間違いないし、そんな必要ないと思えば打たなければいいって事です。


ワクチン接種に関してはいろいろ論議ありますし、今後日本でも3年に1回で確実に免疫が維持できるワクチンが

発売されたり、ガイドラインが変わってくる可能性もありますので。当院でもその都度検討するつもりです。

フィラリア予防

予防薬は検査をしてからあげましょう

5月上旬から12月上旬までの予防が確実な予防期間です。毎年投薬前に検査を受けることを推奨しています。

前年度予防薬が確実に効いているかどうか、投薬の失敗がなかったかの判定にもなります。実際しっかり飲ませたつもりでも飼い主が知らないうちに吐き出していたり、残っていて充分な薬用量に達していなく、 かかってしまったなどという例もあります。検査なしでも処方することは出来ますがお薬に制限があります。

当院で使用しているフィラリア予防薬

錠剤・チュアブルタイプ・スポットタイプ・注射等多様なタイプがあります。

詳しくはスタッフまでおたずねください。

フィラリアデータ

なぜ5月~12月まで予防が必要なの?

住んでいる環境や飼い方によって蚊の飛んでいる数や刺される頻度は変わってきます。ただし、下の表を見ていただくと分かるように、愛媛県では5月の中旬から11月の初旬まで感染能力のある蚊がいます。

今まで「室内で飼ってるから」「蚊の少ないところに住んでるから」と5月~12月よりも短い予防薬投与で運良くフィラリア症にかかってな い場合もあるでしょう。しかし当院では確実に予防できる期間、5月~12月をフィラリア症の予防期間として推奨します。

愛媛県のフィラリア感染期間(蚊のいる期間)
フィラリアデータ

ノミ・ダニ予防

健康でいてほしいから

当院ではノミやダニなどの外部寄生虫の予防を推奨しています。

犬や特に猫はノミが1回ついてしまうと爆発的な繁殖力により除去することが困難になります。室内飼いだから大丈夫と思っていても散歩や他のペットとの接触やトリミングなどのときにもらってしまうこともあります(当院では予防済みの動物しかお預かりいたしません)。しかも、ノミが寄生するだけの問題ではなくアレルギー性皮膚炎を起こしたり腸管内の寄生虫を運んだり、人間に対しても害を及ぼすことがあります。ダニの場合は散歩時にもらってくる場合がほとんどなので、散歩だけでも外に行く場合はしておいたほうが無難です。

市販薬(ホームセンター・薬局)もあるのですが効果は・・・・です。 また、シャンプーをしても駆除することはできません。

確実にノミやダニを殺し繁殖を抑えることが出来るのは動物病院の処方薬だけです。

当院で使用しているノミ・ダニ予防薬

スポットタイプ(つける薬)、チュアブルタイプ(食べるタイプ)、等いろんなタイプがあります。

それぞれの生活環境や寄生状況に適した薬剤をお勧めできますので詳しくはスタッフまでおたずねください。

狂犬病予防

大切な家族のために

生後90日以上の犬を飼育している飼い主には各市町村への犬の登録、狂犬病予防注射の接種が法律により義務付けられています。日本での狂犬病の発生は1957年以降ないのですが、狂犬病に感染しうる動物の輸入の増加などにより日本に狂犬病が発生することが危惧されています。また口傷事件など不慮の事故の際の手続き上の問題もあり、当院では飼い主の義務として接種を推奨しています。正直実際の接種率は決して高いものではありません。当院の患者さんでも接種されてない方がいらっしゃるのは事実ですし一部では狂犬病はないから大丈夫などの風潮もありますがもしものことを考えたらこれほど恐ろしい病気はありません。

接種時期は伝染病予防接種の終了後、生後約90日頃に初回接種を行いその後は手続きの関係上毎年4・5月に接種するようになります。集合注射(各地域の集会所などに集まって行われる注射)で接種する方法と動物病院にいって接種する方法があります。

当院では来院での注射を推奨しています。 集合注射などでは沢山の犬が集まるのでおびえてしまったり、けんかしたりなどの事故も起こりえます。また流れ作業のように注射が接種されるため犬にとってはやさしいものではありません。時間が決まっているので仕事等の都合でいけない場合もあるでしょう。 来院での利点は、『一般状態を確認後に接種しますので安全性が高い』『個別の対応が出来る』『時間を合わせなくていい』『フィラリアなどの予防が同時期から始まるのでいっしょに検査を受け予防薬を処方できる』、等が挙げられます。

検査

検査を重視した治療

動物の場合は人間と違い直接症状を聞くことが出来ませんので確実な診断を下すためには検査を必要とすることがよくあります。もちろん飼い主さんから得られる状況や状態、表面から判断できるもの(触診・聴診・視診など)も大切な要素なのですがそれに検査を加えることでより正確な診断が下せます。当院では動物の状態を確実に判断するために、一般状態と合わせて血液検査やレントゲン、尿検査、エコーといった検査を行い治療していくことを推奨しています。

もちろん表面から判断できるようなものに細かい検査をする必要はありませんがある一定以上の病態があるときは検査によって状態を把握することが治療方針を決定する上で大切になってきます。病気や状態がはっきりしていて治療するのとある程度の推測で治療するのでは治療効果に大きな差が出てきます。費用に関しても検査費用は掛かりますが、その検査で確実な判断が出来、適切な治療を行うことが出来れば結果的に治療回数や余計な投薬をなくすことが出来、総合的な費用は変わらないということもよくあります。

何より動物にとってもそのほうが負担が少なくて済みます。

検査設備について詳しくはこちら

手術

当院で行う手術について

当院で手術時に行っている全身麻酔は基本的に術前に鎮静剤(麻酔導入をスムーズにおこなうため)投与後吸入麻酔(ガス麻酔)で行っています。

これは非常に安全性が高く全身状態に問題がなければ大きなトラブルが起こることは非常にまれです。しかし、年齢や健康状態に関係なく、麻酔剤に対するショックや特異体質、血圧の変化による呼吸停止や心停止など予想し得ないような事故的な状況に陥ることがあるのも事実です。確率的には何万分の一程度の低い確率ではありますが100%安全という保障は出来ません。

しかし、その極わずかな確率のことだけを考えていると治せるものも治せないという事態が生じてしまいますので、当院では全身麻酔時にはモニター(心電図、呼吸数、血圧、血中酸素濃度)を装着、人工呼吸器付きの麻酔器、緊急カートを装備しそのような不慮の事故を事前に察知し安全を確保出来るよう最善の努力を行っています。この点につきましては飼い主様にも充分なご理解をお願いいたします。

皮膚縫合について

縫合は可能な場合は皮内縫合という表に糸が出ない方法で行いますので抜糸の必要がありません。皮膚の下で解けてしまいます。 その場合エリザベスカラーや腹帯といった動物が嫌がるものを付けなくて済みます。

術創の大きさや、張力が掛かる部分の縫合は一般的なナイロン糸や、合成吸収糸を使用する場合もあります。


抜糸なし→抜糸の必要がない手術法

     血管はシーリング(結ばず機械で止血)・縫合は吸収糸(溶ける糸)

     体内に縫合糸や結紮糸等、異物になって残るものはありません

日帰り手術

健康な動物の避妊手術・去勢手術、短時間の麻酔で済む軽度の手術の場合日帰り手術の適応となります。ただし、日帰り手術の予定でも予想外に麻酔の覚醒が悪かったり、状態の悪い子は1日お預かりします。退院可能な場合でも、ご不安な方は1泊お預かりしますのでお申出下さい。

注意事項

日帰り手術で退院したその日は食べものは与えないで下さい。仮に食べたとしても麻酔により胃腸の動きが悪くなっていますので、嘔吐する可能性が高いです。 少量の水は構いません。翌日からはほぼ正常な生活に戻してもらって構いません。

当院では手術に際しては鎮痛薬を使用し、動物といえども痛みに対するケアを行っています。個体差はありますが、違和感を感じる子もいると思われます。その日はいつもと違う様子に見えるかもしれませんが、必要以上に心配なさらないようにしてください。ただし次の日になっても調子が悪い場合は、何らかの異常が出ている可能性がありますので当院に連絡し指示を仰いでください。

メリット
いつも自分のいる安心した環境でリカバリー(回復)が出来るので、動物にストレスがかからず治癒力が向上します。
デメリット
手術当日は麻酔が覚めていてもなんとなく「ぼ~」としていたり、だるそうな感じはありますので飼い主さんはすこし不安になるかもしれません。(次の日にはほぼ元通りの状態になります。)

手術・入院前のお約束・注意事項

  • 動物健康保険に加入している場合には、証券をお持ちください。各種予防ワクチンを1年以内に接種していない場合や、しっかりした免疫ができていないと推測される場合には、追加接種させていただきます。また、ノミなどの予防の処置をされていない動物は、予防処置をさせていただきます。
  • 入院誓約書・・記載内容を確認、承諾していただいたうえで、署名・捺印をお願いします
  • 入院概算予納金・・・概算予納金全額、または半額を内金としてお預かりさせていただきます。この概算予納金は退院時に清算いたします。それまで、預り証を大切に保管し、退院時にお持ちください。
  • 手術・入院予約を取り消される場合には、お手数ですがご連絡ください。
  • 面会・お見舞いについては、担当の獣医師のご相談ください。動物によっては面会できない場合もあります。その場合には、デジタルカメラなどをご持参くださればお写真を撮影いたします。
  • 担当獣医師と他の獣医師で連携して治療に当たらせていただきます。なお入院中の動物のお問い合わせは、診察時間内にお願いいたします。
  • 入院中にその他の病気を併発し、治療や手術、その他の処置が必要であると診断された場合には、診療、治療を行うことを承諾していただき、ご請求させていただきます。
  • 特異体質による不慮の事故、天災などの止むを得ざる原因による失踪、死亡、損傷の場合、直ちに連絡いたしますが、賠償、損害補償等の請求はお受けできません。
  • ひどく吠える犬、安静にできないなど入院管理が困難な場合、鎮静剤の投与をさせていただきます。また、極端な場合や投与が不可能な場合には、退院していただく場合があります。退院の指示があった場合には直ちに引き取っていただくことをご了承ください。

避妊・去勢

メリット

当院では繁殖予定のない犬猫には避妊・去勢手術を受けることを推奨しています。飼育していくの上で利点や病気予防の観点から見ても動物にとっても有用です。

以下の病気予防効果が期待できます。
オス メス
  • 肛門周囲炎・周囲腫
  • 睾丸腫瘍
  • ホルモン性皮膚炎
  • 前立腺肥大・腫瘍
  • 会陰ヘルニア
  • 卵巣嚢腫
  • 子宮蓄膿症
  • 乳腺腫瘍
  • ホルモン性皮膚炎
  • 子宮内膜炎
  • 乳腺炎
  • 鼠径ヘルニア

適齢期

時期は生後5、6ヶ月頃におすすめしています。

以前は早期の避妊去勢はホルモンバランスや成長に影響があるという見解もありましたが、現在は早期にすることによって病気的にも体の管理においても利点が多いという見解が主流となってきております。極端な例ですと生後3、4ヶ月で行っても問題はないという見解もあります。

避妊手術について

卵巣と子宮の摘出手術―基本日帰り。抜糸もありません。

去勢手術について

犬・・・睾丸の摘出手術―基本日帰り。抜糸もありません。

猫・・・睾丸の摘出手術―基本日帰り。抜糸もありません。

皮膚縫合について

縫合は可能な場合は皮内縫合という表に糸が出ない方法で行いますので抜糸の必要がありません。皮膚の下で解けてしまいます。 その場合エリザベスカラーや腹帯といった動物が嫌がるものを付けなくて済みます。

術創の大きさや、張力が掛かる部分の縫合は一般的なナイロン糸や、合成吸収糸を使用する場合もあります。

抜糸なし→抜糸の必要がない手術法

     血管はシーリング(結ばず機械で止血)・縫合は吸収糸(溶ける糸)

     体内に縫合糸や結紮糸等、異物になって残るものはありません

手術の流れ

事前にカルテ作成
  • 一般健康診断
  • 伝染病ワクチンの接種・外部寄生虫予防(未接種の方のみ)
  • 問題点がなければ手術の予約
手術当日
  • 全身状態の再確認
  • 3歳以上もしくは一般状態に問題がある場合は 血液検査・胸部レントゲンによる状態確認が必要です。
  • (料金別途 10000円程度)
  • 問題点がなければお預かり
麻酔前投薬
  • (麻酔導入をスムーズにするための沈静と不整脈・嘔吐・などの防止)
鎮痛剤・抗生剤投与
  • (術後の痛み・感染を防止)
全身麻酔
  • (モニター・人工呼吸器付き吸入麻酔機・緊急セットにより安全性を確保)
手術 (当院で行う手術について)
覚醒
退院
  • 基本的に当日帰りですが、麻酔の覚めにもよりますので夕方確認の電話を頂き、退院の可否をお伝えします。
  • 可能な場合でもご不安な方は一泊お預かりすることもできます。
  • 基本的に当日帰りですが、麻酔の覚めにもよりますので夕方確認の電話を頂き、退院の可否をお伝えします。可能な場合でもご不安な方は一泊お預かりすることもできます。

避妊・去勢手術後の変化

避妊・去勢手術後の変化
発情
  • オス・メスともに基本的な発情はなくなりますが、行動的なもの(鳴く・腰を振る・興奮等)は残る場合があります。
  • 特に避妊・去勢の時期が遅いほどその傾向があります。
性格
  • オスの場合は攻撃性の低下、性格の温和化、発情による興奮、遠吠えの抑制などがかなり期待できますが個体差がかなりあるので全く変わらないというような場合も有ります。
  • メスの場合は稀に攻撃性が強くなることが有ります。
  • 両者共に基本的な性格(人なつっこい、おとなしい、落ち着きがない等)はほとんど変わりません。
肥満傾向
  • 避妊・去勢手術をすることにより個体差はありますが、ほとんどの動物で肥満傾向が見られます。
  • ホルモンバランスが変わり食欲が増し体質自体も太りやすくなるためです。
  • そのため術後は特に注意し食べたがるからといって、必要量以上にフードを与えないよう注意する、もしくはフード自体を変えるなどしてください。
  • それでも肥満傾向が見られる場合は当院でカロリー計算をし、減量プログラムを作りますのでご相談ください。

マイクロチップ

マイクロチップとは、世界に1つしかない番号が記録されているICチップです。

このチップを挿入することにより、永久的な固体識別が可能となります。日本ではマイクロチップの装着は現在義務化されておりませんので普及率はまだまだですが一部の特定動物では義務化されていますし、飼主様の管理責任という観点からも将来義務化される可能性もあるでしょう。なによりメリットは大事なペットが迷子になったり、不幸にも不慮の事故にあったりなどいざという時に確実な身元確認が可能となり、飼主様や動物たちにとって大きな安心が得られますので積極的なご利用をお勧めいたします。

くわしくは当院スタッフにお尋ねください。

マイクロチップ