手術について
当院で行う手術について
当院で手術時に行っている全身麻酔は基本的に術前に鎮静剤(麻酔導入をスムーズにおこなうため)投与後吸入麻酔(ガス麻酔)で行っています。
これは非常に安全性が高く全身状態に問題がなければ大きなトラブルが起こることは非常にまれです。しかし、年齢や健康状態に関係なく、麻酔剤に対するショックや特異体質、血圧の変化による呼吸停止や心停止など予想し得ないような事故的な状況に陥ることがあるのも事実です。確率的には何万分の一程度の低い確率ではありますが100%安全という保障は出来ません。
しかし、その極わずかな確率のことだけを考えていると治せるものも治せないという事態が生じてしまいますので、当院では全身麻酔時にはモニター(心電図、呼吸数、血圧、血中酸素濃度)を装着、人工呼吸器付きの麻酔器、緊急カートを装備しそのような不慮の事故を事前に察知し安全を確保出来るよう最善の努力を行っています。この点につきましては飼い主様にも充分なご理解をお願いいたします。
皮膚縫合について
縫合は可能な場合は皮内縫合という表に糸が出ない方法で行いますので抜糸の必要がありません。皮膚の下で解けてしまいます。 その場合エリザベスカラーや腹帯といった動物が嫌がるものを付けなくて済みます。
術創の大きさや、張力が掛かる部分の縫合は外科用ホッチキス、一般的なナイロン糸や、合成吸収糸を使用する場合もあります。
抜糸なし→抜糸の必要がない手術法
血管はシーリング(結ばず機械で止血)・縫合は吸収糸(溶ける糸)
体内に縫合糸や結紮糸等、異物になって残るものはありません
日帰り手術
健康な動物の避妊手術・去勢手術、短時間の麻酔で済む軽度の手術の場合日帰り手術の適応となります。ただし、日帰り手術の予定でも予想外に麻酔の覚醒が悪かったり、状態の悪い子は1日お預かりします。退院可能な場合でも、ご不安な方は1泊お預かりしますのでお申出下さい。
手術(麻酔)後の注意事項
・基本的には自宅で安静にしてください。
・ゲージ等にずっと入れておく必要はありません。
(ただし、多頭飼いの場合は状況によっては隔離していただくこともあります。)
・帰宅後の食事は、麻酔の影響で胃腸の動きがわるくなっていますので嘔吐することがある為いつもの量の半分程度にして与えてください。それ以上欲しがっても与えないようにしてください。
食欲のない場合は無理にあげる必要はありません。
水も器(給水ボトル)にたくさん入れず、少しずつ与えるようにしてください。
翌日以降の食事(水)はいつもどうりで問題ありません。
・当日オムツを付けて帰った場合は、帰宅後外して構いません。心配であれば翌日までつけておいても大丈夫です。
散歩は排便・排尿させる程度であれば、連れて行っても大丈夫です。
長時間の散歩はしないでください。
翌日以降は通常通り散歩をしても大丈夫ですが、激しい運動は1週間ほど控えてくだ
さい。
・抜糸はありません。自宅での消毒も必要ありません。
過剰に舐めたりしなければ術後服やエリザベスカラーも要りません。
皮膚の下で溶ける糸を使用していますが、糸の種類によって溶けるまでに3~6ヶ月かかります。
その間で一時的な反応としてしこりができることがありますが、最終的には無くなります。
・シャンプー(トリミング)は2週間経てば大丈夫です。(抜糸をした場合は3日位してからしてください。)
回復には個体差があります。神経質や臆病な性格の子は、元気や食欲が戻るまでに時間のかかることもあります。徐々に回復していけば問題はありません。
嘔吐や下痢などいつもと違う症状がみられた場合は来院してください。
手術・入院前のお約束・注意事項
動物健康保険に加入している場合には、証券をお持ちください。各種予防ワクチンを1年以内に接種していない場合や、しっかりした免疫ができていないと推測される場合には、追加接種させていただきます。また、ノミなどの予防の処置をされていない動物は、予防処置をさせていただきます。
入院誓約書・・記載内容を確認、承諾していただいたうえで、署名・捺印をお願いします。
入院概算予納金・・・概算予納金全額、または半額を内金としてお預かりさせていただきます。この概算予納金は退院時に清算いたします。それまで、預り証を大切に保管し、退院時にお持ちください。
手術・入院予約を取り消される場合には、お手数ですがご連絡ください。
面会・お見舞いについては、担当の獣医師のご相談ください。動物によっては面会できない場合もあります。その場合には、デジタルカメラなどをご持参くださればお写真を撮影いたします。
担当獣医師と他の獣医師で連携して治療に当たらせていただきます。なお入院中の動物のお問い合わせは、診察時間内にお願いいたします。
入院中にその他の病気を併発し、治療や手術、その他の処置が必要であると診断された場合には、診療、治療を行うことを承諾していただき、ご請求させていただきます。
特異体質による不慮の事故、天災などの止むを得ざる原因による失踪、死亡、損傷の場合、直ちに連絡いたしますが、賠償、損害補償等の請求はお受けできません。
ひどく吠える犬、安静にできないなど入院管理が困難な場合、鎮静剤の投与をさせていただきます。また、極端な場合や投与が不可能な場合には、退院していただく場合があります。退院の指示があった場合には直ちに引き取っていただくことをご了承ください。